【RPGツクールMV/MZ】簡単なカットシーン作成術&カメラ演出で魅力UP!(Galv_CamControl編)

カメラ演出を加えたRPGツクールのカットシーン例

RPGツクールでゲームにドラマティックなカットシーン(イベントシーン)を盛り込みたい!と思ったとき、実はUnityやUnreal Engineといった他のゲームエンジンと比較して、RPGツクールでは驚くほど簡単に基本的なカットシーンを作成できます。

この記事では、RPGツクールの標準機能を使った基本的なカットシーンの作り方から、さらに表現力を豊かにするためのカメラ演出の追加方法までを解説します。カメラ演出には、定番のプラグイン「Galv_CamControl.js」を使用します。

これらのテクニックを使えば、あなたのゲームの物語をより魅力的に、そしてプレイヤーの記憶に残るものにできるはずです。

この記事の内容

  1. 基本的なカットシーンの作り方(RPGツクール標準機能)
  2. カメラ演出の追加方法(Galv_CamControlプラグイン)
  3. リッチなカットシーンの完成へ

基本的なカットシーンの作り方(RPGツクール標準機能)

まずは、プラグインを使わずにRPGツクールの標準機能だけでカットシーンを作成する方法です。

RPGツクールの標準機能だけで作成したシンプルなカットシーン

(↑標準機能だけでも、このようなシーンは作成可能です)

RPGツクールのイベントコマンド設定例(基本的なカットシーン)

RPGツクールのイベントコマンドにある、以下の基本機能を組み合わせるだけで、キャラクター同士の会話や動きを含むカットシーンを簡単に作成できます。

  • 文章の表示: キャラクターのセリフやナレーションを表示します。顔グラフィックと組み合わせることで、誰が話しているかを明確にできます。
  • フキダシアイコンの表示: キャラクターの頭上に「!」や「?」などのアイコンを表示し、感情や状態を視覚的に表現します。
  • 移動ルートの設定: イベントキャラクターやプレイヤーを指定した経路で移動させます。向きの変更、ウェイト(待ち時間)、スイッチ操作なども組み込めます。対象キャラを「このイベント」や名前で指定できるのが非常に直感的です。
  • 透明状態の変更: プレイヤーキャラクターなどを一時的に画面から見えなくします。イベントシーンへの導入時や終了時に便利です。

【Tips】イベントには分かりやすい名前を付けよう!

イベント設定画面でイベント名を設定する

移動ルートの設定でイベント名を指定する場面

他のゲームエンジン経験者から見ると、RPGツクールのイベント作成機能、特にキャラクター指定(「プレイヤー」「このイベント」「イベントID:1」など)や移動ルート設定の手軽さは驚くほど洗練されています。

ここで一つ重要なポイントは、マップ上に配置するキャラクターやオブジェクトなどのイベントには、必ず分かりやすい名前(例:「村人A」「宝箱_洞窟」など)を付けておくことです。イベントコマンドで対象を指定する際に名前で選択できるため、管理が非常に楽になります。これは個人開発であっても、後々の修正やデバッグ時に「あのイベントどれだっけ?」と迷う時間を減らし、将来の自分を助けることにつながります。ゲーム制作が進むほどデータは複雑になるので、こうした小さな心がけが大切です。

さて、標準機能だけでもカットシーンは作れますが、ずっと同じ画角だと少し単調に見えてしまうかもしれません。そこで次に、カメラワークを追加してみましょう。

カメラ演出の追加方法(Galv_CamControlプラグイン)

基本的なカットシーンにカメラワークを加えることで、シーンの臨場感を高めたり、プレイヤーの視線を誘導したりと、より印象的な演出が可能になります。RPGツクールMV/MZでカメラ制御を実現するには、プラグインを利用するのが一般的です。

今回は、多くのツクールユーザーに利用されている定番のカメラ制御プラグイン「Galv_CamControl.js」を使用します。

プラグイン配布元:Galv’s Scripts – MV Cam Control (※MZで利用する場合は、有志による改変版などが必要になる場合があります。別途検索・ご確認ください)

【プラグインの導入】

  1. 上記サイト(または対応版を探して)からプラグインファイル(`Galv_CamControl.js`)をダウンロードします。
  2. RPGツクールのプロジェクトフォルダ内にある `js/plugins` フォルダに、ダウンロードしたファイルをコピーします。
  3. RPGツクールエディタを開き、「ツール」メニューから「プラグイン管理」を選択します。
  4. プラグイン管理ウィンドウで、空いている行をダブルクリックし、「名前」のドロップダウンリストから「Galv_CamControl」を選択して「OK」をクリックします。
  5. 状態が「ON」になっていることを確認し、「OK」をクリックしてプラグイン管理ウィンドウを閉じます。

これでプラグインが有効になり、イベントコマンドの「プラグインコマンド」からカメラ制御の命令を実行できるようになります。

Galv_CamControlのプラグインコマンド入力例

Galv_CamControlの基本的な使い方 (プラグインコマンド)

イベントコマンドの「プラグインコマンド」を使って、以下のような命令を実行することでカメラを制御できます。(これはMVベースの書式例です。MZや特定の改変版では書式が若干異なる場合がありますので、プラグインのヘルプ等をご確認ください)

  • 特定のイベントにカメラを向ける(追従させる):
    例: CAM EVENT 1 (イベントIDが1のキャラクターにカメラを向ける)
    例: CAM EVENT 2 (イベントIDが2のキャラクターにカメラを向ける)
  • プレイヤーにカメラを戻す(追従させる):
    CAM PLAYER
  • 指定したマップ座標にカメラを移動させる:
    CAM MAP X Y (例: CAM MAP 10 15 で座標(10, 15)にカメラを移動)
  • カメラの追従を解除(現在の位置で固定)する:
    CAM TARGET 0

【補足:カメラの移動時間(スクロール)】
上記のコマンドの後に、半角スペースを空けて数字(フレーム数)を指定すると、カメラがその時間をかけてスムーズに移動します。例えば、CAM EVENT 1 60 と入力すると、60フレーム(1秒)かけてイベント1の位置までカメラがスクロールします。時間を指定しない場合は、カメラは瞬時に移動します。

これらのコマンドを、イベントコマンドの「文章の表示」や「移動ルートの設定」、「ウェイト」などと組み合わせることで、会話の話し手にカメラをフォーカスさせたり、重要なアイテムや場所にカメラを向けたりといった演出が可能になります。

【カメラ演出の応用:見せて伝えるゲームデザイン】

カメラを宝箱に向ける演出例

優れたゲームデザインでは、プレイヤーに「どこへ行け」「何を取れ」と指示するだけでなく、目的地や対象物をカメラで一度映し出すことで、プレイヤーが直感的に理解できるように誘導します。

Galv_CamControlのようなカメラ制御プラグインは、カットシーンの演出強化だけでなく、このような「見せて伝える」ゲームデザインを実現するためにも非常に有効です。例えば、NPCからクエストを受けたら、その目的地や関連するオブジェクトに一瞬カメラをパンさせる、といった使い方です。これにより、プレイヤーは次に何をすべきか分かりやすくなり、ゲーム体験が向上します。

💡 応用テクニック:対峙シーンの演出
キャラクター同士が対峙するような緊迫したシーンでは、二人の間に透明な空のイベントを配置し、そのイベントにカメラを固定(例: CAM EVENT [空イベントID] [時間]CAM TARGET 0)することで、キャラクターが画面の両端に配置され、中央に空間ができるような、映画的な構図を作り出すことも可能です。

リッチなカットシーンの完成へ

カメラ演出を加えたRPGツクールのカットシーン完成例

基本的なイベントコマンド(会話、移動、フキダシなど)に、Galv_CamControlによるカメラワークを加えるだけで、最初のシンプルなカットシーンがよりダイナミックで、見ごたえのあるものになったのがお分かりいただけるかと思います。

特にRPGツクールのような2Dベースのゲームでは、画面に動きがないとイベントシーンが単調に見えがちです。カメラを効果的に動かすことで、プレイヤーの視点を誘導し、シーンの重要性を高め、感情的なインパクトを与え、プレイヤーを飽きさせない工夫を凝らしましょう。

RPGツクールの手軽なイベント作成機能と、プラグインによるカメラ制御を組み合わせることで、あなたのゲームはさらに魅力的なものになるはずです。


【RPGツクールMV/MZ】マップ単位でキャラクターを自動切り替えするプラグイン UM_MapActorSetting.js

RPGツクールMVRPGツクールMZで、複数の主人公が登場したり、特定のマップでは特定のキャラクターを操作したりするようなゲームを作りたいと思ったことはありませんか?

通常、マップごとに操作キャラクターを切り替えるには、マップ遷移イベントや場所移動イベントの中に「パーティリーダーの変更」コマンドを配置する必要があります。しかし、対象となるマップが多い場合、この方法は以下のような課題があります。

  • マップごとにイベントを設定・コピーする手間がかかる
  • 設定漏れやキャラクターの指定ミスなど、バグの原因になりやすい。
  • どのマップでどのキャラクターがリーダーになるのか、後から確認・管理するのが大変

これらの課題を解決するために、マップのメモ欄に簡単なタグを記述するだけで、そのマップに入った際に自動的に指定したキャラクターに操作を切り替えるプラグイン「UM_MapActorSetting.js」を作成しました。

この記事では、この自作プラグインの機能、導入方法、設定手順、そして具体的な使用例について解説します。イベントコマンドを使わずに、もっと手軽にキャラクター切り替えを実装したい方におすすめです。

マップ移動時に自動で操作キャラクターが切り替わる様子


この記事の内容

  1. プラグインの概要とメリット
  2. プラグインのインストール方法
  3. 基本的な設定手順 (パラメータとマップメモ)
  4. 具体的な使用例 (勇者と姫の切り替え)
  5. 使用上の注意点
  6. プラグインコード (UM_MapActorSetting.js)

プラグインの概要とメリット

前述の通り、RPGツクールMV/MZでマップごとに操作キャラクターを切り替える標準的な方法は、イベントコマンド「パーティリーダーの変更」を使用することです。しかし、この方法はマップ数が多くなるほど設定が煩雑になり、管理も大変です。

UM_MapActorSetting.js プラグインは、この問題を解決するために開発されました。

主な機能とメリット:

  • マップのメモ欄で指定: どのマップでどのキャラクターを操作させるかを、各マップの「メモ」欄に簡単なタグ(例: ``)で指定します。
  • 自動切り替え: プレイヤーがメモタグを設定したマップに移動すると、プラグインが自動的にパーティの先頭キャラクター(操作キャラクター)を指定されたアクターに入れ替えます。
  • イベント不要: マップごとに切り替え用のイベントを作成・配置する必要がなくなります。
  • 設定がシンプル: プラグインパラメータで「識別子」と「アクターID」を紐付け、マップメモに識別子を書くだけなので、設定が簡単で、後からの確認や変更も容易です。

これにより、複数キャラクターを切り替えるゲームの開発がよりスムーズになります。

プラグインのインストール方法

プラグインの導入は簡単です。

  1. この記事の最後にあるプラグインコードをコピーし、テキストエディタ(メモ帳など)に貼り付けて、ファイル名を `UM_MapActorSetting.js` として保存します。
  2. 作成した `UM_MapActorSetting.js` ファイルを、あなたのRPGツクールプロジェクトフォルダ内の `js/plugins` フォルダに配置します。
  3. RPGツクールエディタを開き、「ツール」メニューから「プラグイン管理」を開きます。
  4. プラグインリストの空いている行をダブルクリックし、「名前」のドロップダウンから `UM_MapActorSetting` を選択し、「状態」を「ON」にして「OK」をクリックします。

RPGツクールMV/MZのプラグイン管理画面でUM_MapActorSettingを有効化

これでプラグインが有効になりました。

基本的な設定手順 (パラメータとマップメモ)

次に、プラグインが正しく動作するように設定を行います。

プラグインパラメータの設定

まず、マップのメモ欄で使う「識別子(任意の文字列)」と、実際に切り替える「アクター(キャラクター)」を紐付けます。

  1. プラグイン管理画面で `UM_MapActorSetting` をダブルクリック(または選択してEnter)し、右側の「パラメータ」欄を開きます。
  2. 「ActorSettings」(アクター設定リスト)という項目をダブルクリックします。
  3. リストの空いている行をダブルクリック(または下の「+」ボタン的なものを操作)して、新しい設定を追加します。
  4. 追加した行で、以下の2つの項目を設定します。
    • Character ID (キャラクターID): マップのメモ欄で使用する任意の識別子(半角英数字推奨、例: `hero`, `princess`, `actor1` など)を入力します。
    • Actor (アクター): 右側のプルダウンメニューから、この識別子に対応させたいアクターをデータベースから選択します。
  5. 切り替えたいキャラクターの数だけ、この設定を追加します。
  6. 設定が終わったら「OK」をクリックして閉じます。

プラグインパラメータActorSettingsの設定画面を開く

Character IDとActorを設定する

マップメモの設定

次に、操作キャラクターを切り替えたいマップ側で設定を行います。

  1. RPGツクールエディタで、操作キャラクターを自動で切り替えたいマップを開きます。
  2. マップ編集画面で、マップ名を右クリック(または編集モードでマップを選択)し、「マップ設定」(または「マップのプロパティ」)を開きます。
  3. 右下にある「メモ」欄に、以下の形式でタグを記述します。
    <Player:識別子>

    識別子 の部分には、プラグインパラメータで設定した「Character ID」を正確に入力します。(例: `<Player:hero>`)

  4. 設定したら「OK」をクリックして閉じます。

マップ設定のメモ欄にタグを記述する

これで、プレイヤーがこのマップに移動してきた際に、<Player:識別子> タグで指定された識別子に対応するアクターが、自動的にパーティの先頭(操作キャラクター)になります。

具体的な使用例 (勇者と姫の切り替え)

例として、「アクターID: 1」が「勇者」、「アクターID: 2」が「姫」としてデータベースに登録されているとします。

1. プラグインパラメータの設定:

プラグイン管理画面で以下のように設定します。

勇者(hero)と姫(princess)のパラメータ設定例

  • 設定1:
    • Character ID: hero
    • Actor: 0001: 勇者 (データベースのアクターID 1)
  • 設定2:
    • Character ID: princess
    • Actor: 0002: 姫 (データベースのアクターID 2)

プラグインパラメータ設定後のリスト表示

2. マップメモの設定:

例えば、2つのマップに対して以下のようにメモを設定します。

  • マップ1(勇者の街)のメモ欄:
    <Player:hero>
  • マップ2(お城)のメモ欄:
    <Player:princess>

結果:

  • プレイヤーが「勇者の街」マップに入ると、操作キャラクターが自動的に「勇者」になります。
  • プレイヤーが「お城」マップに入ると、操作キャラクターが自動的に「姫」になります。

マップ移動でキャラクターが切り替わるデモ

このように、イベントコマンドを一切使わずに、マップごとの操作キャラクター切り替えを実現できます。

使用上の注意点

  • キャラクターの切り替えは、マップ遷移時(場所移動コマンド実行後など)とゲームロード時に自動的に行われます。
  • マップのメモ欄に記述するタグ <Player:識別子> の「識別子」部分は、プラグインパラメータで設定した「Character ID」と完全に一致させてください。大文字・小文字も区別されます。記述を間違えると切り替えは機能しません。
  • プラグインは、指定されたアクターをパーティの先頭に入れ替える(元々いた場合は先頭にし、いなければ追加して先頭にする)シンプルな動作をします。パーティメンバー全体の入れ替えや並び順の制御は行いません。もし元々パーティにいないアクターを指定した場合、そのアクターがパーティに追加されてリーダーになります。(元のリーダーはパーティから外れます)
  • データベースで新しいアクターを追加・変更した場合や、プラグインパラメータの「Character ID」を変更した場合は、必ずプラグインパラメータの設定も更新してください。
  • 他のパーティメンバー変更系プラグインと競合する可能性はあります。併用する場合はご注意ください。

プラグインコード (UM_MapActorSetting.js)

このプラグインコードはご自由にお使いください。改変なども問題ありません。


//=============================================================================
// UM_MapActorSetting
//=============================================================================

/*:
 * @plugindesc マップのメモタグに基づいて、自動的にプレイヤーキャラクターを切り替えます。
 * @author UHIMA
 *
 * @param MapActorSettings
 * @text アクター設定
 * @type struct<ActorConfig>[]
 * @desc 各アクターの設定
 *
 * @help
 * ============================================================================
 * ■ 概要
 * ============================================================================
 * このプラグインは、マップのメモタグに基づいて自動的にプレイヤーキャラクターを
 * 切り替えることを可能にします。
 *
 * ============================================================================
 * ■ 使用方法
 * ============================================================================
 * プレイヤーキャラクターを切り替えたいマップには、以下のメモタグを追加してください:
 *
 * <Player:characterId>
 *
 * プラグインパラメータで「データベース」のアクターIDとキャラクター名を紐づけることができます。
 * これにより<Player:harold>のような簡易的な記述でアクターを切り替えることができます。
 * 新規キャラクターを追加した場合やアクターIDを変更した場合は、このプラグインの紐づけも対応させてください。
 *
 * 例:
 * <Player:harold>
 */

/*~struct~ActorConfig:
 * @param Character ID
 * @text キャラクターID
 * @type string
 * @desc マップメモタグで使用する識別子(例:harold)
 *
 * @param Actor
 * @text アクター
 * @type actor
 * @desc 切り替えるアクター
 */

(function () {
  var parameters = PluginManager.parameters("UM_MapActorSetting");
  var MapActorSettings = JSON.parse(parameters["MapActorSettings"] || "[]").map(
    (setting) => JSON.parse(setting)
  );

  var _Game_Player_performTransfer = Game_Player.prototype.performTransfer;
  Game_Player.prototype.performTransfer = function () {
    _Game_Player_performTransfer.call(this);
    switchActorByMap();
  };

  function switchActorByMap() {
    if ($dataMap && $dataMap.meta.Player) {
      var characterId = $dataMap.meta.Player;
      var actorConfig = MapActorSettings.find(
        (config) => config["Character ID"] === characterId
      );

      if (actorConfig) {
        var newActorId = Number(actorConfig.Actor);
        var currentLeader = $gameParty.leader();
        var currentLeaderId = currentLeader ? currentLeader.actorId() : null;

        if (currentLeaderId !== newActorId) {
          if (currentLeaderId) {
            $gameParty.removeActor(currentLeaderId);
          }
          $gameParty.addActor(newActorId);
          $gamePlayer.refresh();
        }
      }
    }
  }

  var _Scene_Map_start = Scene_Map.prototype.start;
  Scene_Map.prototype.start = function () {
    _Scene_Map_start.call(this);
    switchActorByMap();
  };
})();

【RPGツクールMV/MZ】スイッチで床が出現!イベントを使ったギミックの作り方

RPGツクールでスイッチON時に床が出現する様子

RPGツクールMVRPGツクールMZでゲームを作成する際、特定の条件を満たすと道が開ける、といったギミックを実装したくなることがありますよね。例えば、ボスを倒したり、仕掛けを解いたりした後に、それまで通れなかった場所に床が出現して進めるようになる、といった演出です。

このような「スイッチをONにすると出現する床」は、プレイヤーに達成感を与え、探索の幅を広げる効果的なギミックとなります。

この記事では、RPGツクールMV/MZで、特定のスイッチがONになった時にイベント機能を使って床(足場)を出現させ、通行可能にする具体的な作り方を解説します。


この記事の内容

  1. なぜ「イベント」で床を作るのか?(概要説明)
  2. イベントで床タイル画像を使うための「タイルセット」編集
  3. スイッチで出現・通行可能になる床イベントの設定手順
  4. まとめ:イベント活用で動的なマップを作ろう

なぜ「イベント」で床を作るのか?(概要説明)

RPGツクールでは、マップの基本的な地形や壁などは「タイル」を配置して作成します。しかし、マップに配置したタイルそのものは、基本的に静的なものであり、ゲーム中のスイッチや変数の状態によって表示を切り替えたり、消したりすることはできません。

そのため、今回のような「特定の条件(スイッチON)で出現する床」のような動的な仕掛けは、「イベント」機能を使って実装する必要があります。イベントであれば、出現条件を設定したり、表示する画像を指定したり、通行設定を制御したりすることが可能です。

この記事では例として、ゲーム内のスイッチ「#0001_通行床表示」がONになった時に、指定した場所に床タイルが表示され、通行可能になるように設定していきます。

イベントで床タイル画像を使うための「タイルセット」編集

まず、出現させたい床のグラフィックをイベントの画像として設定する準備が必要です。

マップ上で新しいイベントを作成し、画像設定を開いてみてください。おそらく、[タイルセットB](壁やオブジェクトなど)や[タイルセットC](建物の屋根など)の画像は選択できても、肝心の地面や床に使われるタイル画像がリストに表示されないことに気づくはずです。

イベント画像設定の初期状態(床タイルがない)

これは、イベント画像として使用できるタイルセットがデフォルトでは限定されているためです。これを解決するには、「データベース」(ツールバーの歯車アイコンなど)を開き、「タイルセット」タブで設定を変更する必要があります。

1. データベースを開き、「タイルセット」タブを選択します。

2. 現在のマップで使用しているタイルセット(例: 001: フィールド)を選択します。

3. 右側の設定項目で、[A]タブの[A2](地面タイル)に設定されている画像シートと同じ画像ファイルを、[D]タブ(または空いている他のタブ、例: [E])にも設定します。

タイルセットのA2と同じ画像をDに設定する

4. これで設定は完了です。「適用」または「OK」を押してデータベースを閉じます。

この操作により、イベントの画像設定リストに[タイルセットD](または設定したタブ)が追加され、そこから床タイルを選択できるようになります。

【重要】通行設定の確認!

タイルセット編集画面で、追加設定した床タイルの画像を選択し、左側の「通行」設定がどのようになっているか必ず確認してください。

  • : 通行可能
  • ×: 通行不可
  • : 通行可能(プレイヤーより上に表示)

出現させたい床タイルが「×」(通行不可)になっていると、イベントで床が表示されてもプレイヤーはその上を歩くことができません。必ず「」(または状況に応じて★)に設定されているか確認し、もし×だったらクリックして◯に変更しておきましょう。

スイッチで出現・通行可能になる床イベントの設定手順

タイルセットの準備ができたら、床を出現させるイベントを作成します。設定は非常にシンプルです。

1. 床を出現させたいマップ上のマスを右クリックし、「イベントの作成」を選択します。

2. イベントエディターが開いたら、まず1ページ目(初期状態のページ)は、画像などを何も設定せず、基本的にそのままの状態にしておきます。ただし、以下の2点は確認・設定してください。

  • オプション: 「すり抜け」のチェックがオフになっていることを確認します。(チェックが入っていると、床がない状態でもプレイヤーが通過できてしまいます)
  • プライオリティ:通常キャラの下」を選択します。(これにより、後で床が出現したときにプレイヤーがその上を歩けます)

(※トリガーはデフォルトの「決定ボタン」のままで問題ありません。実行内容も空のままでOKです。)

出現床イベントの設定画面(1ページ目:ほぼデフォルト)

3. 次に、イベントエディター上部の「EVページ作成」ボタンをクリックし、2ページ目を作成します。

4. 2ページ目で、床が出現した状態を設定します。

  • 出現条件: 左側の「出現条件」欄で「スイッチ」にチェックを入れ、対象のスイッチ(例: #0001_通行床表示)が「ON」であることを指定します。
  • 画像: 左下の「画像」欄をダブルクリックし、タイルセット選択画面を開きます。先ほどタイルセット編集で選択可能になった床タイル(例: [タイルセットD]から)を選び、「OK」をクリックします。
  • オプション: 1ページ目と同様に、「すり抜け」はオフのままにします。
  • プライオリティ: 1ページ目と同じく「通常キャラの下」を選択します。

(※トリガーや実行内容は、このページも基本的にそのままでOKです。)

出現床イベントの設定画面(2ページ目:スイッチONで床画像表示)

5. これでイベントの設定は完了です。「OK」を押してイベントエディターを閉じます。

6. 作成した「出現床」イベントをコピー(Ctrl+C または Cmd+C)し、床を出現させたい他のマスにペースト(Ctrl+V または Cmd+V)して配置していきます。

マップ上に作成した出現床イベントをコピーして配置する

ゲームをテストプレイし、指定したスイッチ(例: #0001_通行床表示)をONにするイベントを実行すると、イベントを配置した場所に床が出現し、その上を歩けるようになっているはずです。

スイッチON後に床が出現し通行可能になったゲーム画面

以上で、スイッチ操作によって出現する通行可能な床の実装は完了です。


まとめ:イベント活用で動的なマップを作ろう

この記事では、RPGツクールMV/MZで「スイッチがONになると出現する床」をイベント機能を使って実装する基本的な方法を解説しました。

ポイントは以下の通りです。

  • タイル自体は動的に変更できないため、「イベント」として床を作成する。
  • イベント画像で床タイルを使うために、事前に「データベース」で「タイルセット」設定を変更しておく必要がある。
  • タイルセット編集時には、床タイルの「通行設定」が「◯(通行可能)」になっているか確認する。
  • イベントは2ページ構成にし、1ページ目は空白(スイッチOFF時)、2ページ目は出現条件(スイッチON)と床画像、オプション(すり抜けOFFプライオリティ通常キャラの下)を設定する。

このテクニックを使えば、ボス撃破後に新たな道が開けたり、仕掛けを解くことで隠し通路が出現したりと、プレイヤーの行動によってマップが変化する、よりダイナミックなゲームを作ることができます。ぜひ、あなたの作品作りに活用してみてください!